鋳造会社の造型作業ってどんな様子?実際の作業経験から語る

鋳造会社の造型作業で求人が出ていたから、応募しようと思う。でも、鋳造会社の造型作業って実際どんな感じなの?「実際に働いた経験者の話が聞きたい」、と考えているあなたへ。

本記事では鋳造会社における造型作業の現実を、良い悪い含めて経験者が語ります。

目次

造型はひたすら砂を型に詰め込む作業

鋳物の造型作業というのは、木や金属でできた型に砂を詰め込み固めて、鋳型を作る作業です。作った鋳型へ溶けた金属を流し込んで、冷やして固まったのが鋳物です。

造型作業ですが、私は約2年間経験しました。

鋳造といっても様々な手法があり、同じ鋳造会社でもやり方は異なります。ですから、造型の方法も様々です。これから書くことは、私の働く会社で行っているやり方です。

簡単な説明として「生砂」を使った鋳造方法、製品の重量は数百グラムの小さい物~2トン程度の大きい物まで作っています。

手込めと機械込め

私の会社では2種類の方法で造型を行っています。

上から砂を落として、それを手作業で型に詰めて固める「手込め」という方法

機械で自動的に砂を入れて固める作業まで行う「機械込め」という方法

私は手込めの経験しかありません。でも、見ている感じだと機械込めは体力的に楽そうに感じました。実際に機械込めをしている人に話を聞くと「俺は手込めは絶対にやりたくない、機械込めで良かった」、と言います。

それは体力的にしんどい、というイメージがあるからだと思います。

稀に機械込めをしている作業場から、バキン!とかガチン!って大きな音が聞こえる時があります。そういう時は、誤操作で機械や型を破損させてしまった時ですね。

こうした点で手込めよりも機械込めは、より慎重さが求められるかもしれません。

手込め造型は体力勝負

私が経験した手込め造型はとにかく力仕事であり、体力勝負となります。

ですから、力と体力に優れる男性でなければ厳しいです。鋳造会社の現場作業なんて、やりたがる女性はいないと思いますが。

私が働いている会社でも、造型現場に女性は一人もいません。

「中子部門」といって、鋳物製品の内部に空洞を作るための型を作る部門があります。同じく砂を固める作業を行うのですが、そこでは女性も何人か働いています。

造型作業のどこが一番力を使うかというと、木型や金型から鋳型を取り出す時です。鋳型を取り出すには、砂が詰まった型をひっくり返さなくてはいけません。私の会社だけかもしれませんが、木型をひっくり返す時に持つ取ってが小さくて、持ちずらいんです。

手の平でしっかり握るんじゃなくて、指だけで挟んで持ち上げるイメージです。握力をすごく消耗しますし、厚手の手袋をしていても指が痛くなります。

それと、重い物を持って腰の曲げ伸ばしすることが多いので、腰を痛めやすいです。

1日に多い時には、1人で100型作ることもあります。そうすると、100回はひっくり返す作業を繰り返さなくてはなりません。数回程度の繰り返しなら大したことのない作業でも、何十回と繰り返すと、しんどくなってきます。

鋳造会社・造型部門の作業環境

続きまして、造型現場の作業環境について説明します。

粉塵が舞い、お世辞にも綺麗とは言えない環境

造型現場は、砂型に使う細かい砂がそこら中で舞い上がっています。そのために、作業着や靴などはすぐに真っ黒になります。そのため、防塵マスク無しでは大変厳しいです。

粉塵を吸い込んで肺に貯まってしまいそうで怖いです。普通の風邪予防に使う白いマスクだと、すぐに砂まみれになり黒くなります。なぜか、マスクをしていても鼻毛が伸びるのが早いです。体に異物が入らないようにするための、防衛反応なのでしょうか?

夏は暑く冬は寒い

エアコンなどで空調管理されている職場ではありませんので、当然ですが外気の影響をモロに受けます。中にはエアコンが効いている工場で、造型作業を行う鋳造会社もあるかもしれませんが、ほとんどの会社はエアコンなど無いでしょう。

夏はとにかく暑いです。暑い中、体を動かしっぱなしなので汗ダラダラです。水分補給と塩分補給が欠かせません。私の場合、夏場は仕事中に2リットルのペットボトルの水を飲み干しています。

冬は、寒さが厳しい地方のせいもありますが、とにかく寒いです。朝は大型のジェットヒーターをガンガン炊かないと、手がかじかんで作業にならないほどです。

会社の経営状況が悪化した時に、会社の取締り役もやっている総務部長が「こんなにヒーターガンガン炊くな!灯油を節約しろ!」と説教に来たことがあります。そしたら、現場から「寒くて仕事なんかできないよ!」と激しいブーイングが起きて、総務部長は前言撤回しました。

取締り役にも遠慮なく物事を言ってしまう位、とにかく寒いです。

鋳造・造型作業の良い点、悪い点

鋳造会社というと、泥臭くて汗臭いイメージですよね。人によっては良いイメージを持たないと思います。しかし、ちゃんと良い面もあります。もちろん悪い面もありますけど。それを解説していきます。

まずは、良い面から述べます。

頑張って作った成果を感じやすい

自分が作った鋳型がどんどんと増えていく時は、素直に喜びを感じます。

目で見てすぐに成果が分かるので、楽しいです。よしよし、今日は100型できたぞ、今日は120型もできた、って感じで達成感を味わえます。同僚とよく缶コーヒーを賭けて、型数を競い合ったりしていました。

しかしただ数をこなせばいい、ってだけじゃないのが難しい所です。しっかり砂を込めて固めないと、ポロポロと砂型が壊れてしまって不具合の原因になります。

品質管理部の人に怒られます。

体を動かすので運動不足解消になる

機械込めの場合は別ですが、手込めの場合は常に体を動かすので、かなりの運動量となります。負荷の軽い筋トレを長時間やるようなものですね。

運動不足になりがちな社会人にとって、体を動かす職場はいいもんです。

深く考えずに黙々と作業ができる

基本的に同じ動作の繰り返しとなります。ですから、あまり深く考える必要なく、作業に没頭できます。頭をフル回転させて仕事するのは、精神的にとても疲れますからね。

それに、一心不乱に砂を相手に動いていると、時間が過ぎるのが早く感じます。集中しているせいでしょうか?気付いたら、10時やお昼の休憩時間になっています。

次に「悪い点」について述べます。

ロボットのように動かなければいけない

同じ作業の繰り返しに耐えられない人は、向きません。

同じ動きの繰り返しなので、刺激がないんですよね。自分はロボットなんだ、と感じる時があります。常に何かを考えて行動したい、という人にはつまらないでしょう。

潔癖症や綺麗好きには耐えられない

作業環境の項目でも述べましたが、清潔で綺麗な職場で働きたい人は、拒絶反応を示すでしょう。

砂まみれ、汗まみれとなって、動かなくてはいけませんからね。私の職場にはありませんが、お風呂がある会社もあります。

砂や汗を洗い流してさっぱりしてから帰宅する、羨ましい限りです。

自分の体を動かして、働きたい人にはおすすめ

鋳造会社、鋳物工場というとというと「3K」のイメージが付きまといます。

決して最先端の技術を駆使して、価値を創造する華やかさはありません。実際に造型作業をやっていると体力的にきつい、と感じることもあります。作業着の洗濯に苦労するほど、汚れることもあります。

しかし、機械ではなく自分の手足を使って「ものをつくりたい」人には、十分やりがいのある仕事になるでしょう。私も、造型部門で働く前は、毎日ひたすら砂を込める仕事など耐えられそうにない、と不安でした。

でも、やってみると案外楽しいもんです。忙しく体を動かし、形ある鋳型をつくりあげていく。数をこなす内に砂の込め方のコツを掴み、作業スピードが上がっていく。1日に作成できる型数が伸びていく。

自分の成長を、型数として数字と見た目で実感できる仕事って、楽しいものですよ。

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