新卒で食品スーパーに入社し、鮮魚部門に配属され、5年間働きました。
スーパーの鮮魚部門というと、朝早い、魚臭い、冬は寒い、などネガティブなイメージがあります。だから、求人が出ていても迷う人もいるでしょう。
本記事では、正社員やアルバイトの求人が出ているんだけど、どうしようか迷っている。
そうした迷っている人に対しての参考となるように、実際に働いてみた体験から、楽しさ、やりがい、辛さ、辞めた理由などを語ります。
鮮魚部門の楽しさ、やりがい
どんな仕事でもそうですが、やりがいとか楽しさというものは、必ずあるものです。人によって合う、合わないという相性があるので、難しいことですが。
もちろん、スーパーの鮮魚部門にだって楽しい仕事や、やりがいを感じられる仕事があります。
魚の調理技術が身に付けられる
鮮魚部門で1番楽しかった仕事は、何だったと思います?それは、魚の調理作業でした。
新入社員は、まず最初に魚の調理技術を叩きこまれます。魚の調理がある程度できるようになったら、商品管理や売場管理、人の管理を覚えていきます。
とにかく、魚の調理ができなければ部門で戦力となりません。
学生時代はろくに包丁すら握ったことがなかったので、もちろん魚の調理など全然できません。ですから、始めは苦労しました。
でも、数をこなしている内に上達するんですよね。始めは刺身の盛り合わせも、へんてこで見栄えが悪い物しかできませんでした。魚の3枚卸も、骨に付いている身の方が多い状態。
それが、毎日包丁を握って魚と格闘していると、見栄えよく調理できるようになるわけです。楽しくなってくるわけです。
だけど、仕事ができる上司から、こう言われました。
「お前は、魚調理の職人になるんじゃねえからな。魚を販売するプロになるんだからな。調理技術なんて極めなくても、最低レベルの価値さえ提供できればいいんだ」ってね。
食品スーパーの鮮魚担当者は、魚の調理技術以上に身に付けるべきスキルが、あるんですよね。でも、私は魚の調理が一番楽しかったです。
ちなみに、正社員ではなくパートやアルバイトなら、ずっと調理を担当している人もいます。毎日、刺身盛り合わせロボットのようになっている人がいました。
売上、利益をアップさせて予算を達成する
調理作業の次に楽しかったのは、売上や利益を上げて、予算達成できた時ですね。
やっぱり商売人である以上、売上や利益を上げてナンボですよ。
どの商品をどれくらい仕入れて、どこでどう並べて販売するのか?商品管理や売場の管理を試行錯誤しながら行い、うまくいった時はとても楽しいものです。
逆に、売上予算や利益予算を達成できなかった時は、辛い思いをしますけどね。商品部から、なぜ予算いかなかったのか?と問い詰められます。数字に厳しい営業職のようなものですね。
これは、物を販売する仕事である以上、避けられない運命です。
鮮魚部門で働いていて辛かったこと
次に辛かった事に関して述べていきます。
働いている時に、辛いと思ったことは山ほどあります。でも、それは働く多くの人が感じることですよね。ですから、スーパーの魚屋ならではの辛さを述べます。
朝が早く長時間労働になりがち
魚屋はイメージ通り、朝の出勤時間が早いです。6時~遅くても7時くらいには、ほとんどの社員は出勤していましたね。そして、帰りは早いと17時、遅いと19時くらいまでいました。
朝、早く出勤する理由は、魚屋は調理に時間が掛かるからです。店のオープンまでに、ある程度の品揃えをしなくてはいけません。
同じ生鮮食品でも、青果や精肉部門は、鮮魚ほど早くはなかったです。魚と比べて野菜や肉は多少日持ちしますからね。
夕方も、商品の見切りやら何やらで遅くなってしまいます。従業員の人数に余裕がある店舗とかだと、交代制にして8時間の定時で上がる人もいましたが、少数でした。
お盆休みや年末は忙しすぎる
お盆や年末の鮮魚部門は、メチャクチャ忙しいです。都会の店舗だと違うのかもしれませんが、地方の田舎にある店舗だと、忙しいのことがほとんどです。
なぜなら、刺身の盛り合わせなどが売れまくるから。年末は、ブリの切身なんかも売れまくりですね。
特に年末の忙しさは、半端なかったです。大晦日なんかは、朝の3時に出勤して、帰りが20時とかでしたよ。休憩時間の1時間を差し引いて、驚異の16時間労働です。
1日で2日分の労働時間ですよ。
そして、鮮魚部門以外の部門は、ここまで忙しくないんですよ。他の部門からも刺身の盛り合わせ作成に、応援にきているほどです。
基本的に、年末はどの部門も忙しいんですが、鮮魚部門は断トツで忙しいです。
魚臭くなる
生臭い魚を扱っているので、どうしても体に臭いが染みついてしまいます。ズボンや白衣を着替えても、臭いが分かるんですよね。
私は、それほど魚の生臭さは嫌いではなかったのでいいんですが、苦手な人はきついと思います。あと、手に付いた臭いは、なかなか取れないですね。常に手からは魚の臭いが感じられたほどです(笑)
私がスーパーの鮮魚部門をやめた理由
私が鮮魚部門をやめた理由は、単純に長時間労働や休日の関係です。
若い時はいいのですが、歳をとったり家庭を持ったときのことを考えたら、辞めることを決断しました。
長時間労働、土日祝日に休みずらい、お盆や年末年始も休めない、といった環境は耐えられなかったからです。
もちろん、出世して店長や本部スタッフとして働く、という道はあります。しかし、いずれも長時間労働、休日問題は解消されません。
不満を解消するためには、業界を変えざる得ないと判断しました。
でも、決して仕事内容が嫌だったわけではありません。むしろ、楽しかったです。
魚の調理も、売場管理や商品管理も、数値管理も楽しかったです。人の管理は、楽しくなかったですけどね(笑)
労働時間が適正で、土日祝日、盆暮れ正月GWが休めたら、今も続けていたはずです。
5年間、鮮魚部門で働いての感想
新卒というレアカードを使い入社して、5年で辞めてしまったわけですが、鮮魚部門で働いたことは後悔していません。
魚の調理を覚えることができましたし、売上や利益に対する考え方を鍛えられました。コスト意識を強く持つことも、できるようになりました。
常に時間を意識して作業すること、常に考えながら仕事に取り組むことも、意識できるようになりました。
過酷な労働条件で働いたので、今の仕事が楽に感じられています(笑)
あと、調理師免許が取得できたのは嬉しいです。といっても、活かすような仕事に就く予定はなく、ただの自己満ですけどね。
2019年現在は、働き方改革の影響で長時間労働はかなり減ったと、同期入社し今も頑張っている人から聞きました。
土日祝日、盆暮れ正月に休みずらいことを受け入れることができれば、魅力的な仕事だと考えています。